健康経営研究会 理事コラム / 2020年10月5日

NPO法人健康経営研究会 理事 濵田千雅氏によるコラムをお届けしますので、ご一読下さい。

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健康経営研究会 理事コラム / 2020年10月5日

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《withコロナ時代、答えのない事態につきあっていく力やレジリエンス》

医療面・経済面において、世界中が新型コロナウイルス感染症で苦し

んでいます。

しかしながら、今のところ明るい兆しはあまり見えていません。我々はこれからもいろいろと模索しながら、新しい生活様式を実践していくことになりますが、『これが正解』というのが見えない時代、まさしくVUCA*の時代を生きていくことになります。

- ネガティブケイパビリティ -

精神科医の帚木蓬生先生の著書によれば、問題を性急に措定せず、未解決問題に早急に回答を見つけず、宙ぶらりんの状態を回避せず、持ちこたえ耐え抜く力(ネガティブケイパビリティ)は、詩人ジョン・キーツがシェイクスピアの持つ「無感覚の感覚」に気が付いたことから、この世で初めて口にしたとあります。

どうにもできない状態をネガティブケイパビリティの力で持ちこたえていくうちに、状況が好転していく…ネガティブケイパビリティは今の時代にはとても重要な力であると思われます。

-「わかろう」とする脳と不安 -

ヒトの脳は、出来事に出くわすとそのことを、ともかくその状況を

「わかろう」とする傾向があるそうです。脳が悩まなくても済むように、「わかる・わかりやすくする」ための究極の形がマニュアル化です。

現在社会の必須アイテムでもあります。マニュアルに慣れ切った脳はマニュアルにない事態が起こったとき、つまり「わからない」ことが起こると「不快」・「不安」という感情が沸き起こります。

「わかる」の基盤には、記憶が必要であり、それが知識として蓄えられます。よって、多くの経験をすれば、多くの記憶が獲得でき、「わかる」は増えてくると思われますが、新型コロナウイルス感染症は「わからない」事象の1つです。経験が少なくまた、1人暮らしの従業員はこの「不快」・「不安」な気持ちがより増幅するかもしれません。

また、在宅勤務制度も浸透してくる中、職場のコミュニケーションも変容しており、産業医としても、職場でのメンタルヘルス不調者の相談を受ける機会が増えています。

社会生活を送る上で、これからも「わからない」ことが溢れており、見通しが立ちません。対話は、自分を取り巻く不安定な要素を軽減してくれます。まずは、職場における対話を常に心がける(わかるコミュニケーション;健康経営における第3軸)ことが重要です。そして、各々が持続可能な自分なりの「楽しみ」「安らぎ」を積極的に見つけていき、組織としてレジリエンスが高い人財の育成が求められるのではないかと考えます。

withコロナ時代、力を合わせて、乗り切っていきましょう。

*VUCA 

Volatility(変動性:変化が予測不能のパターンをもつこと)

Uncertainty(不確実性:問題や出来事の予測がつかないこと)

Complexity(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)

Ambiguity(曖昧性:出来事の因果関係が不明瞭で前例もないこと)

NPO法人健康経営研究会 理事 濵田千雅

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